【徹底解説】東京都美術館「マティス展」★マティスについてここだけは抑えたい知識をお届け!★

美術展解説

この度は私の記事を見に来てくださりありがとうございます!!

早速ですが、今回は、東京都美術館で8月20日まで公開されている「マティス展」について、これから行きたい!興味がある!!という方に向けて、事前に知っておくとより楽しめる美術知識をご提供いたします♪

19世紀末に制作を開始し、20世紀前半を代表する画家のひとりとなったアンリ・マティス。そんな彼の独自性、偉業とはいったいどんなところにあるのでしょうか?この記事の中で一緒に考えていきましょう!!

今回私が予習の参考にした書籍はこちらです!2冊あります!!1冊目はカラーの作品と共にマティスの作風がよくわかり、2冊目はマティスの生き様や考え方がよくわかる本になっていますので、ぜひ読んでみてくださいね♡↓↓↓

アンリ・マティス
マチスの肖像
二十世紀を代表する画家、マチス。作品の陰に隠れがちな画家の生涯を、生い立ち、恋愛、家族から、画家としての苦悩や制作の秘密まで、遺族の証言やエピソードをまじえ、豊富な絵画、写真とともに明らかにする。
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マティスはどんな生涯を送った?(略歴)

押さえておきたい項目は以下の通りです!↓

  • 1869年フランス北東部 商家の生まれ
  • 病弱な子供時代、絵の具を母に貰ったことをきっかけに、絵画制作にのめり込む
  • ウィリアム・ブーグロー、ギュスターブ・モローなどから油彩を学ぶ
  • 印象派作品の鮮やかな色彩に興味を持つ
  • 1905年 強烈な色彩(フォービズム)の作品を共同展に出品する
  • 各地を転々とする(居住・視察旅行)→装飾品の模様に興味を持つ
  • 1941年腸の病が悪化し、寝たきりになる→切り絵を主な制作とする
  • ヴァンスのロザリオ礼拝堂デザインに携わる

マティスが制作のために、本当に多くの場所を訪れたようです!(私も覚えきれなかったので記載を省きました・・・笑)もし余裕のある方は、1917~1929年のニース時代は、全盛期ともいえる時代なので、覚えておくとよいかもしれません。

この時代には、ピカソを筆頭に多くの革命的な作品を生み出すアーティストがいました。その中でマティスは、各地を訪ねながら、自分なりの作風を求めていったのですね。

マティスの作品スタイルは?

略歴にも記載した、マティスの作品スタイル。もう少し詳細を見てみましょう!

①フォービズム(野獣派)作品

目に見える世界と異なる色彩を用いて、絵画を制作した初めての人たち、派閥を「フォービズム(日本語で野獣派)」と呼びます。マティスはフォービズムの代表画家であり、先駆者でもありました。近代の絵画では、目に見える世界を再現する、というニーズはカメラの普及などで失われつつありました。形の再現性を問う作品の代表者がピカソだとしたら、色の再現性を問う作品の代表者はマティスといえるでしょう!

色彩の選び方についての、マティス本人のことばがあります。↓

私はある対象についての色彩の感覚を持っていた。そこでカンヴァスに一つの色彩を置く。それが最初の色彩である。次に私は二番目の色彩を加え、それが最初の色彩とうまくいってない場合には、二番目の色彩を拭い去る代わりに、これら二つの色彩に調和をもたらすような三番目の色彩を置く。このようにして私はカンヴァスに完全な調和が生まれるまで同様の作業を続け、その結果、この絵を描くよう私を突き動かした感情から解放されるのである。

つまり、マティスは感覚や感情、また色彩の調和を意識して、フォービズム作品を制作していたということです。1905年のサロン・ドートンヌ共同展に出品したこれらの作品は、激しい賛否両論を生みました。次第に受け入れられていきましたが、仕事熱心で神経質なマティスには、かなり堪えたことでしょう。

②装飾美術作品(平面的な作品)


展覧会撮影OKエリアでの撮影

マティスの特徴的な鮮やかさ、純粋な色彩はそのままに、アラベスク風の模様を多用し、より平面的な描写を行いました。アラベスク模様とは、イスラムの寺院・モスクの壁面などに描かれる、ツタが美しく絡まったような装飾模様のことです。

ぱっと見では描写が簡略化されただけにも見えますが、リズミカルな筆遣いや色彩に、作品中の精神的なものが表現されています。ドラクロワの「正確さは真実ではない」という言葉を好んで引用していたというエピソードからも、写実性とは異なる面から、物事の深い部分を描き出そうとしたことがよく分かりますね。

そんな装飾美術作品ですが、マティスの生涯には、比較的写実的(立体的)な作品を制作する時期非常に装飾的(平面的)な時期が交互に訪れます。1920年代周辺のニース時代は、主に写実的な時期といわれています。これは、彼の中に東洋的な美の感覚(日本画などに代表される平面的な表現)と西洋的な美の感覚(科学的に正しい立体的な表現)の両方の感覚を持っていたということをよく表しているのです。

③切り絵

展覧会撮影OKエリアでの撮影

マティスが晩年まで精力的に制作したのが、切り絵の作品です。マティス本人や助手が彩色した紙を切り貼りして作られ、雑誌の表紙・挿絵や、壁画のデザインに用いられました。

体が不自由になり、また第二次世界大戦で心も弱っていたマティスは、サーカスや民話、旅行など過去の思い出をイメージした切り絵を作ることが癒しにもなっていました。また、「輪郭線」という概念が存在しない切り絵は、柔軟性が高く、理想的な表現手法だったのでしょう。

切り絵で、マチスは形や色を単純化するコツをつかんだマティスは、これを油彩画など他の制作にも生かしました。ヴァンスのロザリオ礼拝堂もその一つです。礼拝堂の窓・礼服は切り絵によりデザインされました。「礼拝堂を訪れることで、(どんな宗教の人も)純化され、重荷を下ろせる場所に」という願いがこめられ、マティスの精神面を重視した制作活動の結晶となりました。

④彫刻

「マティスは画家じゃないの?なぜ彫刻?」と思う方もいらっしゃると思います。もちろんマティスの制作の主軸は絵画や切り絵などの平面作品にあります。彼は、一般的なスケッチをするのに近い感覚で、彫刻をおこなっていました。

先ほどお話ししたように、マティスは平面的な描写と立体的な描写を行き来していました。彫刻では、同じ人物を本物そっくりの造形やデフォルメされた造形などいくつかの表現の彫刻に起こすことで、制作スタイルを見つめ直していました。

実際に東京都美術館「マティス展」に行ってみた!

私は土曜日に訪れたため、非常に混雑していましたが、それでも当日券を買ってすぐに入場することができました!(会期終了間近にはより混雑する恐れがあります)展示は1階と2階で行われており、初期~第1次大戦期までが1階、それ以降の作品が2階にあったと記憶しています。人の流れに沿って歩くと所要時間は約1時間弱でした。

作品は、装飾絵画の初めのころの作品と彫刻、切り絵がとても充実しており、実物作品を見ることでマティスの純粋な色彩やかたちのこだわりを肌で感じることができました!また最後にロザリオ礼拝堂についての映像を巨大なスクリーンで見ることができ、礼拝堂の神秘的であたたかな雰囲気をかんじとることができました♪

ここまで記事を読んでくださりありがとうございました!この記事で「マティス展」に行ってみたいと思ってくださった方は、こちらの公式サイトをぜひご覧ください!↓

マティス展 Henri Matisse: The Path to Color
マティス展の公式サイトです。2023年4月27日(木)~8月20日(日)まで、東京都美術館で開催。

そして、より深くマティスについて知りたい!!と思った方に、改めて今回の記事を書く際に参照した書籍をこちらに載せておきます!↓

アンリ・マティス
マチスの肖像
二十世紀を代表する画家、マチス。作品の陰に隠れがちな画家の生涯を、生い立ち、恋愛、家族から、画家としての苦悩や制作の秘密まで、遺族の証言やエピソードをまじえ、豊富な絵画、写真とともに明らかにする。

最後まで読んでくださりありがとうございました!質問・ご意見・感想等はコメント・Twitterの質問箱・DMでいつでもお寄せください♪

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