こんにちは。この度は私の記事をご覧いただきありがとうございます。早速ですが、今回は東京国立近代美術館にて6月7日より開催されている『ゲルハルト・リヒター展』についてご紹介します!
ゲルハルト・リヒターは現代アートの巨匠ともいえる芸術家ですが、皆さんは「現代アートの見方がわからない…」「現代アートって難しそう…」と気後れしてしまっていませんか?
でも安心してください!今回の記事でゲルハルト・リヒターの経歴、考え方をサクッと予習し、見どころをつかめば、皆さんも肩の力を抜いて、より展覧会を楽しめると思いますよ!!また、今回の知識を一緒に展覧会に行く家族、友人、恋人に話せば、尊敬されること間違いなしです!(笑)
今回は、ドレスデン美術館のゲルハルト・リヒター・アーカイブ部門でディレクターを務めるディートマー・エルガーさんの『評伝ゲルハルト・リヒター』という書籍にて予習をさせていただきました。amazonのリンクをこちらに貼っておきます♪↓↓↓
1. ゲルハルト・リヒターは何を考えて作品を作っていた?
ゲルハルト・リヒターは様々なスタイルの作品を作っていますが(後ほど具体的にお伝えします)、彼がそこから表現しようとしたものは一貫しています。まずはリヒターが何を考え、何を思って作品を制作していたのか、彼の経歴や思想から探っていきましょう!
1-1.ゲルハルト・リヒターの経歴
- 1932年ドイツ南東部ドレスデンに生まれる(現在90歳)
- 家族で東ドイツの田舎に引っ越し、ドレスデン美術大学・大学院に進学
- 新しいアートに触れるために西ドイツに移り、コミュニティを求めてデュッセルドルフアカデミーに入学
- 様々な現代アーティストの影響を受けながらも独自の思想を持ち制作、世間の評価を高める
- ドイツの冷戦やテロが激化したことにより作品の主題として戦争を取り上げるようになる
鑑賞にあたって参考にすべき経歴はこのあたりだと思います。第二次世界大戦~東西冷戦の激動のドイツを過ごしていたんですね。
アート面で言っても、リヒターは、20世紀の現代アートの誕生・発展の時代に生きたといっても過言ではないでしょう。彼自身、アンディー・ウォーホルやマルセル・デュシャンなどの有名芸術家と互いに影響を受け合っていたようです。
1-2.ゲルハルト・リヒターの思想・作品テーマ
ゲルハルト・リヒターの作品テーマを一言で表すと、『いかに何も表現しないか』ということだと思います。「え?芸術作品なのに、何も表現しないってどういうこと?」「これだから現代アートは…」という声が聞こえてきそうですね。
リヒターは作品のモチーフを設定しても、制作の際には「非個性」「非芸術」を貫いていました。多くの芸術家の作品には「戦争に反対する」「モデルの優しい性格を表現する」といった主題がありますが、リヒターはそのようなものを一切避けました。そして作品自体も、モチーフ選択などにあたっての個人的動機が一切見えない、凡庸なものを極めようとしました。
またリヒターは自ら、「芸術作品は現実世界の類似またはモデルである。良い作品は曖昧で理解不可能なものを目に見える形にしたものであるから、見てもよく分からないのは当然である。」ということを言っています。
なんだか難しいことを言っているようですが、そう言われると、私たちが彼の作品を理解しきれなくとも、それはそれで正解に思えてきますね。
2.ゲルハルト・リヒターの代表的な作品スタイルとは?
このように徹底して『何も表現しないこと』を表現していくために、彼は主に絵画作品を通じて様々なスタイルを確立しました。今回はその中でも最も主要な5つのスタイルを紹介します!
2-1.フォト・ペインティング
その名の通り、モノクロ写真をキャンバス上にそのまま写し取った作品です。
リヒターは雑誌や新聞広告などから写真を選び取って、それをプロジェクターでキャンバスに映して描いていたようです。その際には、対象をあえてぼかして描くことで、モチーフを一般化させていました。リヒター自身の言葉で言うと、『すべてを等しくするため』ということです。
後になると、ドイツの戦争など、政治的なモチーフを選択することも増えていきます。しかしリヒターは「別に作品を通して議論をしたいわけじゃない。ただ作品の一つとしてモチーフを選んだだけだ。」と話しており、そこに作者の動機はないようです。
2-2.カラーチャート
無作為に色を選んで、画面上にランダムに並べた作品です。
初期の作品は、色見本のように色同士が白い枠で隔てられていましたが、途中でその枠も消え、ますます機械的な印象を持つ作品形態となりました。また『絵画らしさ』をなくすために、油彩ではなく、工業用ラッカーが用いられています。
2-3.グレイ・ペインティング
キャンバス上に色を置いて混ぜ、グレー一色の画面を生み出した作品で、リヒターの作品形態の中でも絵画表現を拒絶した究極の姿といわれています。
作品によって若干グレーの色合いが異なっていたり、筆跡やパレットナイフの跡が残っていたりします。リヒターはこれによって絵画としてのアイデンティティをギリギリのところで保持しようとしました。
2-4.コンストラクション
グレイ・ペインティングを制作したものの、自らが絵画から自分を除外しているような感覚を覚えたリヒターは、今度はその真逆ともいえる作品を制作し始めました。
鮮やかな地の色に幾何学的な細い線が何本か引かれ、さらにビビットな色を筆で描き入れています。
2-5.アブストラクト・ペインティング
こちらがゲルハルト・リヒターの作品スタイルの中で最も長い間制作され、最も多くの点数を有するものになります。
スキージ(ヘラのような画材)で色をのせ、パレットナイフで削るという工程を繰り返して層を重ねていきます。リヒター自身も完成品の姿はわからない中、塗って、壊して、層を重ねるという行為に彼は特に魅力を感じていたようです。
3.実際に美術館に行ってきた!(レビュー・詳細)
ここまでゲルハルト・リヒターについて予習をしてきました。今回紹介した『評伝ゲルハルト・リヒター』には、他にもゲルハルト・リヒターが何を考え、どのような画家人生を送ってきたのかの情報が詰まっているので是非読んでみてください!もう一度リンクを貼っておきますね!↓
私は土曜日の夕方に会場(国立近代美術館)を訪れましたが、開催したばかりでもかなり混雑(特にリヒターグッズのレジ待ちの列!)していました。6時ごろになるとだいぶ空いていたので、夜は逆におすすめかもしれません。金曜日と土曜日は20時まで開館しているので、ぜひ!!
展示室内は作品スタイルごとに異なるエリアに展示され、順路が指定されていなかったので、みんな気になった作品から鑑賞していました。撮影は一部の作品を除いてOKでした。
展示作品には私が紹介した5つの作品スタイルはもちろん、ガラス作品や紙にグラファイトでドローイングをした作品、映像作品もありました。私は特に写真にペインティングをした作品にリヒターらしさを感じました。写真に写る人物や景色は肝心な部分が塗りつぶされ、個性を意図的に失わせているようでした。
全体としてリヒターの『非個性』『非芸術』の姿勢が強く感じられた一方、近づいてみることで彼の人間性が垣間見えるような気がしました。皆さんもリヒターの考えがどこにどう潜んでいるのか、探ってみるととても面白いと思いますよ!!
記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。今後の記事も楽しみにしてください!
質問・コメントなどもいつでもお待ちしております♪
コメント
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